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Desire ~this illusory world~

k○○○さん、お元気ですか?
私のことを覚えていますか?

なぜだ?なぜyumikoが僕のメールアドレスを知ってるんだ?
胸の鼓動が大きくなる。。。

間違いない、送信元はyumikoだ。

今でも時候の挨拶を交わしている共通の友人から聞いたのだろうか。しかし、その友人も、高校卒業してから会ってないと言ってたはずなんだけど。。。。

メールはかなり長いものだった。
思い出のこととか、yumikoしか知り得ないようなことも書いてあり、このメールがyumikoからのものである証拠でもあった。最終的には、久しぶりに会わないか?との趣旨だった。

困る。
僕は妻帯者だ。
yumikoとは20年以上も前に別れたはず。そりゃあお互い嫌いになって別れたわけではないのだけど、偶然に会わない限り道義的に許されない。仕事場の女の子と飲みに行くのとは訳が違うのだ!

そもそも、yumikoも人妻のはずだろ!
あの時、yumikoは確かに幸せの絶頂にいた!

イヤ、そんなことはどうだっていい。
とにかく、僕はメールを返信するのか?
胸の鼓動は止まらない。
yumikoが僕の頭の中を占有していくのを自覚した。



僕とyumikoとの共通の友人に連絡を取る。
時候の挨拶はしていたけど、僕から連絡するのは初めてだな。
数回のコールの後、“もしもし、○○です”
ああ、年取ったねえ。。。。20年前はそれはそれはかわいい声だったぞ。
なんて思いつつも、気になっていることを聞いてみる。
“なあ、yumikoに俺のアドレス聞かれた?”
“yumikoって誰?”
“誰?ってyumikoやん!俺とつきあってた○○やんか!”
“○○?。。。。。。あ~っ!!○○かいな?○○がどうかしたん?”
“だから、最近yumikoと話した?”
“yumikoとは高校卒業して以来会ってないってば。同窓会でも会わなかったけど。”


どういうことなのか?
なぜ、yumikoは僕のアドレスを知っているんだ?


“あ、いや、yumikoと思われる人からメール来たんよ。”
“え?なにそれ。。。”
“まあ、考えられることと言えば、おまえが聞かれて教えたかしか思いつかんもんね。”
“なるほどね。。。けど、○○とは卒業してからほんとに会ってないのよ。”
“。。。どういうことなんや。。。。”

あとは超久しぶりの会話をして電話を切ったが、謎だけが残ったわけで。

僕のメールアドレスは、知ろうと思えばネット上に何度か書き込んだことがある。ほぼすべてが自転車関係の掲示板だけど。。。
しかし、冷静に考えてyumikoがその掲示板でメールアドレスを見たとして僕とわかるのだろうか。。。。
そうか!写真!
掲示板上にアップされた写真に僕が写っていて、僕はHNを“まえだ”にしているので。。。。。
可能性はそれしかないな。。。。。ということはyumikoも自転車乗ってるのかなあ?

いろんな推理が頭をかけ巡る。

メールを無視することも真剣に考えたけど、もし仮に送ってきたのがyumiko本人だったらどんな気持ちで送ったろう。どんなに勇気が要ったろう。

無視は出来ないな。。。。

けど、もう一つ、もう一つだけ、yumikoだという証拠が欲しい。。。。
僕は、意を決して返信することにしたのだ。

“確かに僕はyumikoという人と過去に出会いました。20年以上昔の話です。もしあなたが、そのyumiko本人であるならば、あと一つだけ、僕たち二人しか知り得ない事実を書いてみてください”

メーラーの送信ボタンをクリックした瞬間、後悔と期待の入り交じった独特の感覚に陥る。
“未来のことは神のみぞ知る!”
と自らに言い聞かせる。



数分後、デスクトップのメーラーアイコンが踊った。。。。。。





つづく
by tamz_ortho | 2011-03-05 19:07 | その他